
東京でビル管理会社を変えるべき3つのサイン
「いまの管理会社、このままで大丈夫だろうか」
そう思いながらも、何年も同じ会社に任せ続けている東京のビルオーナーは少なくありません。変更の手間を考えると、多少の不満には目をつぶってしまう。そんな声をよく耳にします。
ですが、東京のビルには地方とは違う特有の事情があります。建物の高齢化、業界全体の人手不足、管理費の値上げ圧力——これらが重なることで、「気づいたときには管理の質がかなり落ちていた」というケースが起きやすいのです。
この記事では、東京のビル管理ならではの背景を踏まえながら、管理会社の変更を検討すべきサインと、変更先を選ぶときに見るべきポイントを解説します。
この記事の目次[非表示]
東京のビルが抱える「3つの構造的な事情」
東京で管理会社選びを考えるなら、まず東京のビルが置かれている状況を知っておく必要があります。
① 中小規模ビルの9割が築30年を超えている
東京23区のオフィスビルは、棟数ベースで9割以上を中小規模ビルが占めており、その平均築年数は34.2年に達しています※1。つまり東京のビルの多くは、すでに設備更新や大規模修繕の時期にさしかかっているということです。
実際、私たちが管理している建物の多くも築30年を超えています。築年数を重ねた建物は故障が多く、修繕の頻度がどうしても高くなります。一方でオーナー様の修繕費用に対する判断は慎重になりがちで、結果として現場担当者の一次対応にかかる負荷が非常に大きくなっているというのが、日々の管理業務で感じている実感です。設備が古いビルほど、管理会社側の「とっさの対応力」が試される場面が増えていきます。
② 業界全体が深刻な人手不足にある
ビルメンテナンス業界では、清掃・警備・設備管理のいずれかで人手が不足していると回答した事業者が92%にのぼるという、全国規模の調査結果があります※2。これは特定の地域に限った話ではありませんが、ビル数が多く案件が密集する東京では、人材の取り合いも当然激しくなります。
人手が足りない部分は、私たちの場合、本部の社員が現場に出て対応することでしのいでいます。逆に、対応が遅いと感じる管理会社は、一人の担当者が抱える物件数が多すぎて手が回っていないか、現場の採用がうまくいかず担当者自身が現場対応に追われているケースが多いのではないかと見ています。清掃品質が落ちるのも、人が定着せず社員の巡回でカバーしている結果、一件一件の清掃がどうしても手薄になっているのだろうと推測しています。
「対応が遅い」「品質が落ちた」という不満の裏側には、こうした業界構造があるケースが少なくありません。
③ 管理費の値上げ圧力が強まっている
ビルメンテナンス業務の契約改定率は年々上がっているものの、人件費の上昇幅と比べると追いついていないのが現状です※3。コスト増を価格に転嫁しきれない管理会社も多く、これが値上げ交渉や、十分な説明のない価格改定につながっています。
こんなサインがあったら、変更を検討するタイミング
東京のビルオーナーから寄せられる相談には、いくつか典型的なパターンがあります。日々の業務のなかで感じている、よくあるケースを整理しました。

サイン1|書面一枚での、説明のない値上げ通知
「突然書面一枚で◯%値上げと言われた」「理由の説明がほとんどなかった」——こうした相談は珍しくありません。値上げそのものが問題なのではなく、納得できる説明がないまま一方的に通知されることが、オーナーの不信感につながっています。
実はこの点、行政側でも問題視されています。厚生労働省は、人件費の上昇分を適正に価格へ反映するための指針を定めており、価格交渉の際には理由の説明や根拠資料の提出が求められるとしています※4。説明のない値上げ通知は、今や是正の対象として位置づけられているのです。
逆にいえば、値上げの背景をきちんと対話できる管理会社かどうかは、信頼関係を測る一つの目安になります。
サイン2|連絡が取れない、見積もりが遅い
緊急時に連絡が取れない、コールバックや返信が遅い、見積もり提示まで時間がかかる——これも相談の多いパターンです。背景には前述の人手不足があり、担当者一人当たりの対応件数が許容量を超えていることが少なくありません。
実際、業界団体の調査でも「現場従業員が集まりにくい」ことは事業者自身が最も多く挙げる悩みごとです※5。連絡や対応の遅さは、個々の担当者の問題というより、業界全体が抱える構造的な課題の表れであるケースが多いといえます。
サイン3|担当者の異動による「関係のリセット」
担当者が変わること自体は珍しくありませんが、問題はその先です。建物情報やテナントとのやり取り、進捗状況の引き継ぎは管理会社によってばらつきが大きく、多くの場合で引き継ぎ漏れが発生します。
オーナーや管理担当者にとって、これは関係構築をゼロからやり直す負担そのものです。「また一から説明しなければならない」という疲労感が、変更を考えるきっかけになっています。
サイン4|気づいたら清掃・点検の質が落ちていた
テナントからのクレームで初めて気づいた、自分で現地を見てひどい状態だった、点検報告書が出てこない——こうしたケースも東京では珍しくありません。先述の通り、人手不足によって巡回清掃でカバーせざるを得ない管理会社が増えていることが背景にあります。
東京で管理会社を選ぶときに見るべき3つのポイント
変更を検討する段階になったら、次の管理会社を選ぶ基準を整理しておきましょう。
確認ポイントチェックの視点エリア対応の実態「東京対応可」でも実態は特定エリアに偏っていないか。担当エリアの実績件数を確認する担当者の定着率・体制担当者が頻繁に変わらないか。緊急時の一次対応をどの体制でカバーしているか価格の根拠説明安さだけでなく、その金額の根拠(人員体制・対応範囲)を説明できるか
価格は安ければよいというものではありません。むしろ重要なのは、その価格でどこまでの対応が含まれているかを、納得できる形で説明してもらえるかどうかです。説明のない値上げに不満を感じてきたオーナーだからこそ、見るべきはここだといえます。

東京でビル管理会社を変更する流れ
「変更は手間がかかりそう」というイメージを持つオーナーは多いですが、実際の手続きの多くは新しい管理会社が代行します。
- 現契約の解約予告期間を確認する(目安:3ヶ月前)
- 新しい管理会社に相談・現地調査・見積もり依頼
- 比較・選定
- 引き継ぎ手続き(必要書類の準備、テナントへの通知)
- 管理開始
具体的な手続きの流れや必要書類については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ ビル管理会社を変更する方法|失敗しない3ヶ月の手順と選び方
また、見積もり比較の際に気になる費用相場については、こちらをご参照ください。
→ ビル管理費の相場はいくら?適正価格の見極め方と見直しチェックポイント
まとめ
東京のビルは、築年数の古さ・業界全体の人手不足・コスト構造という3つの事情が重なり、管理の質に差が生まれやすい環境にあります。「説明のない値上げ」「連絡の遅さ」「担当者交代による引き継ぎ漏れ」「清掃・点検品質の低下」、これらに心当たりがあれば、一度立ち止まって管理会社を見直すタイミングかもしれません。
旺栄は東京都北区を拠点に、約50年・140棟以上の管理実績があります。東京のビル特有の事情を踏まえた上でのご提案が可能です。まずは現状のお悩みをお聞かせください。
※1 出典:ザイマックス不動産総合研究所「オフィスピラミッド2023」(東京23区、棟数ベース)
https://soken.xymax.co.jp/2023/01/18/2301-stock_pyramid_2023/
※2 出典:ザイマックス不動産総合研究所「ビルメンテナンス業の人手不足に関する実態調査」(2024年6月実施、全国のビルメン事業者369社が回答。地域限定の調査ではない点に留意)
https://soken.xymax.co.jp/2024/08/22/2408-labor_shortage_4/
※3 出典:公益社団法人全国ビルメンテナンス協会「ビルメンテナンス情報年鑑2024(第54回実態調査結果)」
https://www.j-bma.or.jp/data/93110(一次PDF:https://cdn.j-bma.or.jp/wp-content/uploads/2024/04/2024_bmiy54_report.pdf )
※4 出典:厚生労働省「ビルメンテナンス業務に係る発注関係事務の運用に関するガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/building_maintenance_guideline.html
公益社団法人全国ビルメンテナンス協会「ビルメンテナンス業における適正取引等の推進」(民間ビル所有者等への事務連絡について記載)
https://www.j-bma.or.jp/feature/95940
※5 出典:公益社団法人全国ビルメンテナンス協会「ビルメンテナンス情報年鑑2024(第54回実態調査結果)」

